【学生・社会人 必読‼】知っておこう「問題」と「課題」について

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生活の中でもよく使われる単語ですが、「問題」と「課題」って何を意味していて、ビジネスシーンでどの様に使われているかご存じでしょうか?

学生の皆さんや若手社会人の皆さんにとっては「問題」というとテスト問題(英語ではQuestionやTest)、「課題」といわれると夏休みの宿題(HomeworkやTheme)などをイメージされる方も多いのではないでしょうか?
もちろん日常会話の中でのそれらの理解は間違いではありません。ただし、ビジネスの世界、とりわけ会社の経営・管理・業務の改善・コンサルティングなどに関わる場合には、「問題」と「課題」ということばには共通の認識があり、これを知っておくことで周囲と共通認識を合わせることが容易になります。社会人として成長していくためのスタートアップ知識の一つと考えていますので是非覚えておいてください。

逆に、何かの達成に向かっている組織やチームメンバー間で「問題」と「課題」についての認識がずれていたり、共通認識を知らないメンバーがいたりする場合には注意が必要です。何度も確認作業が発生し非効率であったり、「問題」と「課題」が明確でないまま議論が進んだ結果として効果の得られない対策が決まったりしてしまう可能性が高いからです。

内容的には簡単ですが、社会人としてチームで物事を進めていく上では重要な内容ですので、学生や若い社会人の方のみならず、経営に関わる方でも理解できていない場合が見受けられますので、是非ご一読の上、実践の場でも「問題」と「課題」についてを意識してみてください。

「問題」と「課題」 ことばの意味とその違い

ビジネスシーンでのそれぞれのことばの定義と違いを認識しましょう。

「問題」とは?

ビジネスシーンで使われる「問題」ということばは、「本来あるべき姿」(Should be)と「現状の姿」(is もしくは As is)のギャップのことを意味します。
参考までに、ビジネスシーンでの「問題」は英語では「Problem」がよく使われます。

わかり易く実際のビジネスシーンでの「本来あるべき姿」、「現状の姿」や「問題」の例を挙げてみます。

ここに例示した内容は、例としてわかり易く単純化して表現してみました。実際のビジネスシーンでは内容的には多少複雑な内容になるかもしれませんが、重要なことは余計な情報は盛り込まず「事実」のみで表現することです。決して「事実」以外の憶測や想像、創造、思いなどを盛り込んではいけません。「事実」以外の表現があると間違った解析や対策へとつながり、結果として「あるべき姿」へ近づけなくなる可能性が高いと考えてください。

例1 (経営者の場合)

本来のあるべき姿: 
決算上の経常利益が黒字となる。

現状: 
決算上の経常利益が赤字となった。

問題: 
決算上の経常利益が黒字であるべきであったが赤字となった。

例2 (営業部門の場合)

本来のあるべき姿: 
本年度第1四半期の全商品総売上高は、1億円以上を達成する。

現状: 
本年度第1四半期の全商品総売上高は、9,000万円であった。

問題: 
本年度第1四半期の全商品総売上高が、目標より1,000万円少なく目標達成できなかった。

例3 (製造部門の場合)

本来のあるべき姿: 
先月の製造原価率は、〇〇%に目標設定していた。

現状: 
先月の実際の製造原価率は、○○+3%であった。

問題: 
先月の製造原価率は目標を3%オーバーし、○○+3%になってしまった。

例4 (サービス業の場合)

本来のあるべき姿: 
顧客満足度調査での総合スコアが5点満点の4.5ポイント以上となる。

現状: 
顧客満足度調査での総合スコアが5点満点中4.2ポイントであった。

問題: 
顧客満足度調査結果が4.2ポイントで目標の4.5ポイントを下回った。

例5 (飲食店の場合)

本来のあるべき姿: 
月商200万円以上が経営目標である。

現状: 
ここ3ヶ月の平均月商が150万円である。

問題: 
ここ3ヶ月の平均月商が目標から25%減の150万円に留まった。

「課題」とは?

ビジネスシーンで使われる「課題」ということばは、「問題」を埋めていく(解決していく)ための具体的に取り組むべきことを意味します。
参考までに、ビジネスシーンでの「課題」は英語では「Challenge」がよく使われます。

これもわかり易くするために、「問題」とは? の項目で使用した各ビジネスシーンへ「課題」も追記してみました。
「課題」を考えて具体的に表現するためには、スキルや知識・経験などが役立つことに異論はありませんが、

などの思考・フレームワークを最大限意識して検討されたものかどうかなどが重要となります。実際には「問題」が明らか(問題定義)になり「課題」を見い出し、さらに実際のとるべき行動として「対策」が立案され問題解決へと向かいます。この「問題定義」と問題解決へのアプローチについては別記事で解説予定ですので参考にしてください。

例1 (経営者の場合)

本来のあるべき姿: 
決算上の経常利益が黒字となる。

現状: 
決算上の経常利益が赤字となった。

問題: 
決算上の経常利益が黒字であるべきであったが赤字となった。

課題: 
① 売上高を上げる。
② 経費を削減する。

例2 (営業部門の場合)

本来のあるべき姿: 
本年度第1四半期の全商品総売上高は、1億円以上を達成する。

現状: 本年度第1四半期の全商品総売上高は、9,000万円であった。

問題: 本年度第1四半期の全商品総売上高が、目標より1,000万円少なく目標達成できなかった。

課題: 
① 新たな販路を開拓する。
② 既存顧客へアプローチ営業する。
③ 有効なイベント・キャンペーンを実施する。
④ 競合との比較優位性に関するパンフレットを作成しホームページ掲載する。

例3 (製造部門の場合)

本来のあるべき姿: 
先月の製造原価率は、〇〇%に目標設定していた。

現状: 
先月の実際の製造原価率は、○○+3%であった。

問題: 
先月の製造原価率は目標を3%オーバーし○○+3%になってしまった。

課題: 
① 原材料費の削減を図る。
② 製造現場若手の多能工化を促進し稼働率を上げる。
③ 機械設備の更新計画と保守を繰り延べする。

例4 (サービス業の場合)

本来のあるべき姿: 
顧客満足度調査での総合スコアが5点満点の4.5ポイント以上となる。

現状: 
顧客満足度調査での総合スコアが5点満点中4.2ポイントであった。

問題: 
顧客満足度調査結果が4.2ポイントで目標の4.5ポイントを下回った。

課題: 
① 総合ではなく各項目の満足度を分析し問題点を掘り下げる。
② 社内モチベーション向上のため従業員全員へ顧客満足度調査結果と分析結果を共有する。
③ 顧客満足への貢献に関する報奨制度を実施する。

※この例では問題点が掘り下げられておらず、課題①として問題の掘り下げがリストされています。さらに問題の分析が必要なことも課題のひとつになります。

例5 (飲食店の場合)

本来のあるべき姿: 
月商200万円以上が経営目標である。

現状: 
ここ3ヶ月の平均月商が150万円である。

問題: 
ここ3ヶ月の平均月商が目標から25%減の150万円に留まった。

課題: 
① ランチドリンク無料キャンペーンでランチタイム集客を図る。
② ディナータイムにワンドリンク無料キャンペーンで集客と客単価増を図る。

※この例も問題が掘り下げられていない例です。経験や知識からそれなりの「課題」がリストされていますが、「問題」と「課題」が本当に関係しているのか、解決に向かうのかがよく判らない例です。
 この場合の「課題」は昼夜別やメニュー別、来店者数、客単価、近隣競合の動向など多方面のデータを分析することが含まれているべきです。

「問題」と「課題」の違い 再確認

「問題」と「課題」の違いは文章での表現より図での表現の方がわかり易いと思います。下の図を見てください。

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問題と課題 解説図

注意

目標設定が変わったり、世の中のテクノロジーが進化したり、法律が変わったり、ビジネスモデルの革新など様々な背景で「本来あるべき姿」を変更しなければいけない場合があります。
その場合は、元々の「本来あるべき姿」と新たな「本来あるべき姿」とのギャップが「問題」であると理解できますので、新たな「本来あるべき姿」を描き、まとめ上げることが「課題」となります。

新たな高みを目指して「本来あるべき姿」を描き直すこともビジネスにおいては重要な「課題」ということです。

上の図を見てわかる通り、「課題」をクリアしていくことで「本来あるべき姿」と「現状の姿」とのギャップ(図の青の矢印)が小さくなり「問題」も縮小していくことになります。このプロセスを「問題解決」ステップといいます。

また、前にあげた各例の文の語尾を見て何か気づきませんか?
「本来あるべき姿」や「現状の姿」、「問題」は状態を表す語尾(英語で考えるとbe動詞)の表現になっています。それに対して「課題」は行動のための動詞で表現されていますね。この表現の違いは「問題」を事実としてとらえて、そのネガティブな状態をポジティブに行動する「課題」設定することで問題解決を図る意欲にもつながってきますので、実践の場でも是非意識してみてください。

捉える立場による違いについて

ビジネスシーンにおいては、「問題」や「課題」を確認・検討する際、個人で閉じている場合は少ないものです。必ずといっていいほど組織やステークホルダー(利害関係者)の存在があります。「問題」や「課題」のことを考える際に、これらを捉える立場について少なからず意識しておいたほうがいいと思います。上にあげた例で簡単に説明しておきますので、頭の片隅に置いて、今後必ずや出会う組織と役割や利害関係者との関係を含めた問題解決などの場面においての、「問題」や「課題」のまとめ作業に役立ててください。

説明のために、上述の各例を同じ社内のこととして考えてみます。

例1は経営者にとっての「問題」や「課題」となっていますが、『課題① 売上高を上げる。』という項目に着目すると例2の営業部門の『問題:本年度第1四半期の全商品総売上高が、目標より1,000万円少なく目標達成できなかった。』に直結しています。
また、例1の『課題② 経費を削減する。』については例3製造部門の『問題:先月の製造原価率は目標を3%オーバーし○○+3%になってしまった。』が少なからず関わってきます。

この様に「問題」や「課題」は捉える立場によって「問題」として捉えられたり「課題」として捉えられたりしながら連鎖しています。これは、組織やステークホルダー(利害関係者)ではそれぞれの「役割(Role)」と「責任(Responsibility)」があるからです。

ごく当たり前の話をしましたが、この「問題」と「課題」の連鎖や組織やステークホルダーの役割と責任を認識していないと、あいまいな問題解決のプランになったり、非効率であったり、問題解決のゴールを達成できない事態につながるため注意喚起の意味を込めて説明を加えました。

まとめ

さて、ここまでビジネスシーンにおける「問題」と「課題」について、その違いも含めて説明してきました。

あなたは次の問いについて、他の人に明確に説明できますか? もう説明できますよね?
・「問題」って何ですか?
・「課題」って何ですか?

まとめ

  • 問題とは: 「本来あるべき姿」(Should be)と現状(is)のギャップのこと
  • 課題とは: 「問題」を埋めていく(解決していく)ための具体的に取り組むべきこと

注意事項

  • 「問題」や「課題」の表現に余計な情報は盛り込まず「事実」のみで表現すること。決して「事実」以外の憶測や想像、創造、思いなどを盛り込まないこと‼
  • 「課題」が具体的にならない場合は、「問題」が漠然としている場合です。問題のさらなる掘り下げ(問題の分析・解析)で「問題」を絞り込むこと。
  • 「課題」の表現は、

    MECE(ミーシーまたはミッシー:漏れなくダブりなく)
    6W2H

    などの思考・フレームワークを最大限意識して検討すること。
  • 組織やステークホルダー(利害関係者)との間で起きる「問題」と「課題」の連鎖、およびそれぞれの「役割」と「責任」を意識すること。

「問題」と「課題」について理解出来たら次は「問題解決」です‼

以上