【学生・社会人 必読‼】問題解決ステップ④「効果の把握」

問題解決ステップ 効果の把握

今回は、以下の問題解決ステップ全体像の第四段階である「効果の把握」に焦点を当てて説明していきます。

問題定義 (Problem Definition)
本来あるべき姿と現状のギャップを定義します。
問題定義が具体性に欠けたり広範な場合は、問題の絞り込みを行います。
report-document
問題分析・解析 (Analysis)
数値化によって各観点から事実を捉え分析します。
分析を踏まえ問題の発生原因の究明・検証などで解析を行います。
data-analysis
対策 (Actions)
問題解決のための課題を定め、それぞれに対しての対策を立案します。
課題や対策に対して優先度の評価をし、各対策のGo/NoGoの決定をします。
各対策案実施の評価方法と目標を定めます。
idea

今回の解説対象となるステップ

効果の把握 (Measure)
各対策案の実施前と実施後の効果を把握します。
目標達成か否かを判定します。(達成→再発防止へ、否→問題分析・解析へ戻る)
Consulting Action
再発防止・レビュー (Solutions/Review)
再発防止のための歯止めを行います。
checksheet

効果の把握

ねらい通りだったのか? 

このステップでは、対策した結果から効果を把握します。

効果把握の目的

効果の把握には大きく2つの目的があります。

効果把握の目的

  • 対策の効果把握
  • 問題解決の効果把握

「対策の効果把握」では施した対策の評価を行います。問題解決における「対策」のステップで対策案への効果の想定を行いましたが、その想定どうりの効果が得られたかどうかの評価がひとつめの目的となります。
「問題解決の効果把握」は、問題解決における「問題定義」のステップで定めた「真の問題」(解決すべき問題)が解決されたか否かの判断をするために行います。つまり、一連の問題解決の活動が終了の方向に向かって良いのかどうかの判断をすることになります。

効果測定

問題解決ステップ③「対策」の解説記事で既に説明済ですが、効果測定は、「問題定義」と「問題分析・解析」でたどった内容を基本は逆順でたどっていきます。つまり、対策前後で同じ条件・同じ特性で測定をするのが原則です。
また、最後のレビューのステップや問題解決に至らなかった場合のさらなる分析・解析には必要となるため対策前に測定した特性は全て把握することをお勧めしますが、効率とのトレードオフになりますので、最低限、第三者にとってストーリーが成り立つ範囲での測定の割愛は許容範囲と考えます。

ここでも、前のステップ解説記事からの流れで同じ例1を使用して解説していきますが、前解説記事までの例1の流れは以下となっていました。

例1 (経営者の場合)

本来のあるべき姿: 
決算上の経常利益が黒字となる。

現状: 
決算上の経常利益が赤字となった。

問題: 
決算上の経常利益が黒字であるべきであったが赤字となった。

真の問題(解決すべき問題): 
経費は予算内であったが、競合他社が売れ筋商品Aへの対抗商品をリリースしたため商品Aの売り上げが目標の25%減となり、それが原因で全社での売上高が目標の7%減となった。そのために決算上の経常利益は赤字となった。

分析内容:
競合商品と当社商品Aの比較分析

 比較情報当社商品A比較優位性競合製品 
商品機能両者同じ両者同じ
商品仕様両者同じ両者同じ
商品価格¥〇〇〇〇〇¥〇〇〇〇〇×0.95
(キャンペーン価格)
商品の市場シェア約60%約15%
広告投資金額¥△△△△△推定¥△△△△△×1.2
顧客評価(価格)
顧客評価(商品認知度)
 

解析・想定原因:
当社より5%安いキャンペーン価格とネットや店頭での新製品キャンペーン広告による訴求により、当社商品Aの顧客が競合商品へシフトした。

想定原因の裏付け:
顧客評価の調査内容より
顧客評価(価格)    → 競合商品の方が高評価
顧客評価(商品認知度) → 競合商品の方が高評価

原因:
競合他社がリリースした当社売れ筋商品Aへの対抗商品の、当社商品Aより5%安いキャンペーン価格設定とキャンペーン広告での訴求。

優先的な課題リスト:

課題項目緊急度 重要度 実現性 期待効果 費用 総合評価
商品Aの価格を下げる〇〇〇〇○○
販路拡大○○
販促キャンペーン
商品Aの訴求広告の展開〇〇〇〇
 

対策立案の前提情報:

  • 当社には既に運用しているインターネット販売サイトがあり利用可能であること。
    つまり、ほとんど費用はかけずに販路拡大が可能であること。
    更には、ほとんど費用をかけずに同販路ではキャンペーンも可能であること。
  • ネット販売の販路では既にSNSなどでの訴求・集客ノウハウがあること。
  • ネット販売は店舗販売より営業経費が少なくて済むこと。
  • 店舗とネットの販売数比率を2:1に出来れば5%値下げでも利益確保可能。
  • 店舗販売数を現状維持し、ネット販売比率を2:1以上にすればシェア60%可能。

対策の設定目標:
対策後3か月目の月次月次損益計算での経常利益が黒字となる。

対策とその想定効果:

  • 商品Aに5%引きのキャンペーン価格を設定する。
    (責任者 Aさん、 3月2日まで)
     → 競合との価格差を排除する
  • 仕入れと物流を確認する。
    (責任者 Bさん、 3月2日まで)
     → ネット販売後の販路の品質を維持する
  • ネット販売サイトに商品Aを掲載する。
    (責任者 Cさん、 3月4日まで)
     → 3か月後の店舗とネットの販売数比率を2:1にする
  • ネット販売サイトにキャンペーンの告知とSNSでの訴求を開始する。
    (責任者 Dさん、 3月4日まで)
     → 3か月後の店舗とネットの販売数比率を2:1にする

効果測定方法:

  • 分析ステップで行った「比較分析」表を対策実施後も検証する
  • 対策後3か月程度の商品A売上高と販売個数、利益率を店舗販売とネット販売別に把握する
  • 対策後3か月程度の月次損益計算での経常利益を把握する

この例1の流れでの効果測定を以下にサンプルとして記載してみます。(具体的な数値は割愛していますが、測定結果のまとめ方の紹介と理解してください。)

①分析ステップで行った「比較分析」表の検証

対策前の比較分析

 比較情報当社商品A比較優位性競合製品 
商品機能両者同じ両者同じ
商品仕様両者同じ両者同じ
商品価格¥〇〇〇〇〇¥〇〇〇〇〇×0.95
(キャンペーン価格)
商品の市場シェア約60%約15%
広告投資金額¥△△△△△推定¥△△△△△×1.2
顧客評価(価格)
顧客評価(商品認知度)

対策後の比較分析

 比較情報当社商品A比較優位性競合製品 
商品機能両者同じ両者同じ
商品仕様両者同じ両者同じ
商品価格¥〇〇〇〇〇×0.95
(キャンペーン価格)
¥〇〇〇〇〇×0.95
(キャンペーン価格)
商品の市場シェア約60%約15%
広告投資金額¥△△△△△推定¥△△△△△×1.2
顧客評価(価格)
顧客評価(商品認知度)

②対策後3ヶ月の月毎 店舗販売とネット販売別商品A売上高と販売個数、利益率の推移

店舗販売ネット販売
 売上高販売個数 利益率 売上高販売個数 利益率
1か月目
2か月目
3か月目

③対策後3ヶ月の月毎 月次経常利

月次経常利益
1か月目
2か月目
3か月目

評価

効果測定結果について、前述の効果把握の目的に沿って評価を行います。

  • 対策は狙いどうりだったのか?
    対策の修正や追加、もしくは対策前への切り戻しの必要性を判断します。
  • 問題は解決したのか?
    問題の分析・解析および課題設定の妥当性を判断ます。

PDCA

上の評価結果において、前のステップで設定した目標を達成できていない場合は「問題分析・解析」や「対策」のステップに戻って繰り返しが必要となります。いわゆる、PDCAを回すということになります。

PDCAの写真

対策が有効になるまで、
問題が解決するまで、
PDCAを回し続けましょう‼

もし、PDCAを回しても目標に到達できず問題解決に至らないときは以下のような場合が考えられます。一度、上の二つの観点で振り返ってみてください。

  • 設定した目標にそもそも無理があった場合
  • 「真の問題定義」(解決すべき問題)設定がずれていた場合

まとめ

効果の把握のステップについてイメージ出来たでしょうか?

次は、いよいよ最終段階「再発防止・レビュー」(Review)についてとなります。

以上